ソーシャル・ディスタンシング上等、というよりは、ソーシャル・ディスタンシングのおかげで清々しているフリーランスの在宅翻訳者、翻訳事務所ヒノトリホンヤクの代表です。 みなさん先行きが不安な日々ですがごきげんいかがでしょうか。

ヒノトリホンヤクの代表です。 大事なことなような気がするので2回言ってしまいました。(笑)

このブログのエントリーを書いている今日は2020年4月13日です。
Webの英語記事を色々と読んでいると、ロックダウンなどという不穏な言葉に夢中の日本と違って、どう見ても英語圏の人たちはsocial distancingと自作の布マスクの話題に熱中しているとしか思えません。
このsocial distancingなのですが、長過ぎるのか言いにくいのか、日本では早速「ソーシャルディスタンス」という和製英語っぽい何かに変形し始めているようで興味は尽きません。 筋肉を伸ばす「ストレッチング」もいつの間にか日本では「ストレッチ」に変形してしまいましたし。 -ingというのは和製英語的にはタブーなのかもしれません。

で、マスクですが、イタリアのミラノに住んでいる友人(ナポリ生まれのイタリア人です)によると先週から鼻と口を覆わずに露出して外を歩くとこは禁止になっているそうです。 現在ミラノは、食料品の買い出しや通院など以外の理由での外出は禁止です。 病気で自宅療養中の弟に食料を分けようと車ででかけても、警官に見つかったら「決まりごとだから」と罰金。
不織布のいわゆるサージカルマスクは手に入るのですが、もちろんフザケた値段だとのこと。

日本でももはや、当事務所の代表が試行錯誤した自家製布マスクを装着して外出しても別に目立ちもしないし恥ずかしくもないのが東京の現実です。 こんな日が来るとは思ってもみませんでした。

ミシンがない、裁縫のスキルが残念という、当事務所の代表のトモダチな方も多いと思います。
ミシンを使うのがお手のもの、という方も多いのでしょうけれど…。
ミシンなんて使えませんという人のためのマスク自作チュートリアルをYouTubeで見つけました。
バンダナと輪ゴムだけで、縫製不要。
こういうのでいいんですよ。

念の為、スクリーンショットをうちのサーバにもアップロードします。


この後、もっと自作マスクのいいアイディアや、マスク争奪戦が続く日本の社会のためのソリューションがないものか、と思いました。 中国製のいつ届くかわからないサージカルマスクでいっぱいでしょうが、いつも新しい発見があるeBay.comにアクセスしましょう。
「コットン マスク ハンドメイド」とかで検索しました。 予想通り、アメリカやイギリスのお母さんおばあちゃん達が戦時体制よろしく腕まくりをしてミシンをうならせながら布マスクを製作、出品しています。 (お忘れかもしれませんが、eBay.comは本来オークションサイトです)
中国の出品者が不織布のサージカルマスクを高値で売りまくる書き入れ時は、もう終わったのかもしれません。
ここで驚いたのが、やたらにギリシャ製の手作り布マスクが出品されていることです。
ここでスクリーンショット。

eBay handmade mask screenshot

きっと、物量ではアメリカには敵わないのでしょう。 でも、わざわざ「ギリシャ製」を謳っていることが多いので、とても目立っています。 何故ギリシャ?
ギリシャは裁縫が盛んな国だったかなぁ?
服飾が大好きなイタリア人の友人に理由に心当たりがあるか、聞いてみました。 イタリアとギリシャ、海を挟んでお隣みたいなものですからね。
イタリア人曰く、「ちょっと想像も出来ない。 ギリシャは、マスクを作るとしたらヨーロッパで最後の国だろう。 そう思ってたよ。」だそうです。
(偏見です。 友人はふざけているのです。 本気にしないでください。)

で、二人でリサーチ合戦をしていたら(ミラノは、割とマジなロックダウン中なので、時間があるのですね。)こんな報道が。

ギリシャの難民キャンプでも新型コロナウイルス感染症は拡大しています。 これに対抗するために、難民の中のミシンを使える女性たちが布マスクの工場をキャンプ内で立ち上げて、すごい勢いで布マスクを量産しているらしいです。

2020年3月18日のThe Guardian紙の記事。

2020年4月1日のThe Telegraph紙電子版の記事。

ギリシャの難民キャンプにはシリアやアフガニスタンなどからたくさんの難民が集まって暮らしています。
換気が出来ていない密閉空間ということはあまりないのでしょうが、文字通り密集。 最悪の密集。 ソーシャル・ディスタンシングどころではありません。 外出を自粛しても、住居がそもそも人間密集状態なのです。
それでなくても新型コロナウイルス感染症がパンデミックになる前から、衛生状態は極めて劣悪。 国連から派遣された衛生の専門家が、「ギリシャのMoria難民キャンプは、現在進行形の地獄」と言い切っています。

そこで、自分たちで布マスクを量産して感染症と闘おうということになったのです。

ギリシャ(の難民キャンプ)は、布マスクの工場になっていたのですね。 イタリア人も日本人も知りませんでした。
eBayに出品されているギリシャの自家製布マスクは、難民キャンプの工場製のものが悪いやつに横流しされているのか、生産能力に余裕が出てきてサープラスとして放出されているのか、難民キャンプ製の布マスクを見たギリシャの人たちが触発されてミシンをうならせて縫製しまくっているのか、ちょっとわかりません。

ここでスクリーンショット。

難民キャンプにしろ、ギリシャ本土にしろ、ギリシャに外貨が落ちるのは悪いことではないと思いました。
いつ日本に届くかわからないですが、eBayで注文を出してしまったです。
到着したら、このブログでご報告する予定です。
輸送業界のみなさん、エアラインの方々、配達のドライバーさん、ご苦労さまです。 感謝しています。