本日は2023年9月28日、個人の翻訳事務所であるヒノトリホンヤクの本店がある場所の天気は日中はほぼ晴れ。最高気温は33℃だそうです。9月28日ですよ。33℃ですよ。勘弁してくださいよ。

うちの事務所の本店がある場所というのは、東京都の日野市です。ご来店が可能なリアル店舗があるわけではありませんが、気象の話の一環としてご承知おきください。
「暑さ寒さも彼岸まで」のはずだったのに、9月28日でこの最高気温とは。
かなり体力を削られました。自宅と自動車の冷却系も問題が出始めています。困っています。 10月は少し稼働率が落ちるかもしれません。
実質休業日が増える程度ですが、営業も生産活動も全部ひとりでやっているのでご了承をお願いします。

ところで最近、Transcription(トランスクリプション)の仕事をしました。日本語の音声(録音されている)を日本語テキストデータにする作業です。いわゆる転写、昔は「テープ起こし」と呼ばれ、最近は「文字起こし」と呼ばれているアレです。私が受注したお仕事の概要は、以下のようなものです。

3人以上の人(日本人のビジネスメンです)が特殊な電話回線で打ち合わせをしているのですが、国際的な、暗号化された通話サービスを提供するサービス(サーバー)のようでした。これ以上は開示できません。

人間の会話はすべて日本語です。(これを私がまず転写=文字起こしをやって、その結果のテキストデータを翻訳者さんが英訳する、という業務フローだったようです。翻訳者さんは、英語を母語とする人だと思います。私はそう想定しています)
…が、「電話会議」の冒頭は機械というか、録音された英語のメッセージで始まります。
「会議室へようこそ。参加者のIDを入力して、最後にパウンドサインのボタンを押してください」
と指示しています。 ぱうんどさいん?
危ないところでした。かろうじて、ああこれは電話端末の#のボタンのことだな、と推測できました。 英語の音声は(可能な限り)英語のままで転写しなければならないので、push the # sign とインプットすることができました。キツイですね。

この#という記号については、世界的に色々な呼び名があります。 Wikipedia英語版の記事によれば、まず記事のタイトル(見出し、エントリー)からして「ナンバーサイン」です。

The symbol # is known variously in English-speaking regions as the number sign, hash, or pound sign.

ということで、英語圏では「ナンバーサイン」「ハッシュ」「パウンドサイン」と呼ばれているということです。ソーシャルメディア(SNSというのはほぼ和製英語、ですよ。プロの翻訳業者としては常に要注意です)では近年、「ハッシュタグ」と呼ばれています。 Wikipediaの記事をずっと下まで読むと、

「アメリカ合衆国ではこの記号を『パウンドサイン』あるいは単に『パウンド』と呼ぶ。特に電話機の端末に#のキーがあるので、これは非常に一般的である。(音声ガイダンスなどで)。
今やこの呼び方はアメリカ合衆国限定の伝統である。他の国では『パウンドサイン』と言ったら £ のことである」

という主旨のことが書いてあります。 他の呼び名としては、”Sharp”、”Square”、”Hex”などがあるそうです。”Hex”はシンガポール、マレーシアで一般的だそうですが、スクエアはわかるけど、この記号でヘックスはないでしょう。それはムリでしょう。本当に言葉と文字は難しい。伝統だからしかたないです。

この記号のUnicode名は結局 “number sign” だそうです。

ちなみに、AppleのPC(Mac系です)のキーボードには、なんと呼んだらいいのかわからない ⌘ という記号が「コマンドキー」についています。(ついているというのは、印字されているという意味です) これにも「正しい名称」があって、”looped square“という名前だそうですが……。ご存じ、こんなやつですね。

この ⌘ ですが、「聖ヨハネのアーム」という起源の由来もあるとか。難しいですね。諸説ありありというやつでしょうけれど。

ナンバーサイン # に話を戻すと、日本ではこいつはイゲタやシャープと呼ばれています。 救急安心センター事業の電話番号が #7119 であること、これがシャープナナイチイチキューである件については、当翻訳事務所の過去のブログ記事をご一読ください。
けっこう昔の記事ですね。(コロナウイルスのパンデミックが来る寸前です)

 

それはシャープじゃないだろう、と今でも思うのですが、しかたないですねえ。行政が「シャープ」と言っているので。
もっとも、Microsoftが開発したプログラミング言語のC#は、「シーシャープ」と読むのだそうです。

現在はナンバーサインと呼ばれている記号#ですが、もともとはアメリカ合衆国の主張が正しく、質量ポンド(lb)が起源だそうです。
達筆な人がlbと手書きで書いて、単位の記号であることを示すために横棒をつけていたら、#みたいになってしまったということですが…。

通貨記号では、おなじみだと思います。

正直に言って、ポンドがlbでそれの手書きのシンボルが#になっちゃったとか言われても、ちょっとわかりにくい。

上の画像は企業ロゴのデザインの見本というか、テンプレートです。筆記体な感じで、lb(エルビー)がロゴとデザインされています。 ちょっとかすれた円形は、テキスト的には意味がない飾り(あしらいというらしいですね。私はデザインにはまったく疎いのですが最近プロの方から教わりました)です。それを頭の中で消していただくと、なんとなく#に見えませんか?
私は、言われればそう見えるかもしれないな、と思いました。

まあ、いずれにしろやっかいな話ですね。