本日は2022年3月9日(水曜日)。東京都の郊外、というかヒノトリホンヤク(個人の翻訳事務所です)の本店がある東京都日野市では、少し雲があるものの晴れと言って問題ない良好な天気です。

先日のブログのエントリーでBusiNestとアメリアを卒業(ダサい日本語…)したことを書いたのですが、今回は解消しなかったアメリアへの疑惑と、退会したわけについてのメモを公開します。

 

簡単に書くと、アメリアという場所には、そんなに仕事があるわけではないのです。残念ながら、逆に自分がおカネを払って「お客様」になる場所です。

 

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あまりはっきり書くと色々と差し障りがあるのですが、産業交流展やビジネスマッチング大会や異業種交流会や「人脈構築のための名刺交換会」とそんなに変わらないです。
(あ、はっきり書いちゃった。笑)


営業しようとか集客しようとして、上の行に書いた場所やイベントに出掛けていっても、大抵は時間の無駄です。
なぜ無駄なのでしょうか? 請負の外注業者やフリーランサーを探している、仕事を発注したいと考えている人はそんな場所にはめったにいないからです。
集まっているのは仕事を受注したいと思っている人です。 ほとんど100%、仕事を欲しがっているだけです。
こういう場所に私のような者(仕事を欲しがっているだけのフリーランサー)がアクセスしても、需給バランスが更に悪化します。せいぜい商売上の刺激が得られて、「私も(明日からは)がんばって精進したり営業したりしなきゃなあ」と気分がリフレッシュされるだけです。 仕事がなくてヒマで困っているのなら、自宅で寝ているよりはでかけていった方が相当マシなのでしょうけど。

さて、アメリアに入会すると、会誌が定期的に送られてきます。もちろん、他では入手できない貴重な情報を含んだ特集が組まれていることが多いのですが、特集を読み終わると、いつも「今月の課題」みたいな紙が折り込まれていて、段々気になってきます。
これが、定期的な腕試しのコンテストなのですよ。有料です。
受検料を払わないとコンテストには応募できないようです。
コンテストに上位入選すると、クラウン会員という資格がもらえて、もしかすると優先的にアメリアで仕事をゲットできるのかもしれませんが、まあこれは当然結構難関です。試していませんが、見るからに難関でした。
なんかヘンですよね。
駆け出しのフリーランサーの翻訳者である私ですが、それでもプロの端くれなのです。よそで仕事を受注すれば翻訳をして報酬を受け取っているんですが…。趣味道楽じゃなくてビジネスで翻訳をやっているのですから、当然です。
それが、アメリアでは、(課題の)翻訳をするために私がエントリーフィーを払う。向きが逆ですよ。私がお客様になってるじゃないですか。

ここで鬼滅の刃みたいにがまんして精進してクラウン会員になってハクがついたら、そりゃあ書籍の奥付に名前が印刷されるような、ビッグな仕事を受注することができて、実績も形として残るのでしょうか。たぶんそうでしょう。そういうこともあるでしょう。
実際あるらしいです。
また、プロと言ったってまだまだ経験が浅いひよっこじゃねえか、精進が足りないんじゃないのか、若僧?…という世界もあると思います。そのとおりです。私も、「自分はまだまだ未熟だ」と認識しながら商売をするというのは、非常に大事な姿勢だとも思います。
(ある中小企業診断士のセンセイには、批判されましたけどね。お客様に不信感をもたせてしまうぞ、プロになりきっていない頼りないやつなんじゃないか?と まあそういうリスクがあるそうです。)

でも、自分の未熟さに苦しみながら現実問題として報酬を受け取って翻訳をするのと、エントリーフィーを払って翻訳のコンテストに応募する活動を修行として続けるのと、このふたつの行為にはとてつもない差があるはずです。
幸運なことに天職と思われる仕事に出会えたのに、いつまでもおカネを払って自分がお客様になって修行をしていて、それでいいのでしょうか?せっかくいい場所に立っているのに、向いている方向が逆じゃないですか?
落語の世界を考えてみましょう。噺家の前座さんは、羽織を着ることも許されないし、「師匠」と呼ばれる体験も、まだまだ先の話です。でも、前座さんはプロです。外の営業の仕事があれば報酬をいただいて高座に座ります。普段の寄席ではメクリを返したり、座布団をひっくり返したり、楽屋では師匠たちにお茶を入れたり、雑用をやります。でも、彼ら前座さんは、そういう雑用をやっていても協会から月給をもらっているはずです。プロなんです。お客様じゃないから、おカネを払ったりしないんです。
(まあ、立川談志師匠が存命だった頃の落語立川流では、弟子が師匠に上納金を払っていたそうですけど…談志師匠が亡くなってからは、どうなってるんですかね。)

フェアになるように、私自身のことも語りましょう。私は新社会人になったとき、企業に就職していわゆる新入社員になりました。最初の一年は、当然内線の電話応対や朝一番で先輩のデスクに灰皿を配って回るなんてこともやりました。ひたすら先輩や上司に言われたとおりに、書類を清書しました。数字を間違えると、叱られました。先輩は、私を指導することも仕事なので負担になっていたとも思います。
それでも、私は「生徒さん」じゃなくて職業人だったので、毎月給料を受け取っていましたよ。 おカネを払って課題をこなして上司に添削してもらうなんてしたことがありません。当然です。
だって、仕事をするために毎朝通勤していたんですから。

アメリアという場所に仕事がある(寄ってくる)のであれば、会員からエントリーフィーを取って翻訳コンテストなんかやってる余裕はないはずです。仕事を発注する翻訳会社などの企業がアメリアという場所の近所にいて、「急いでるんだよ。ちゃんと仕事ができる翻訳者をすぐに5人よこしてよ」とイライラしているはずです。
アメリアに入会すればレアな情報は会誌から入ってくるのですが、結局プロフェッショナル扱いされていないんじゃないのか? この場所には仕事はないんじゃないのか?
そういう疑惑が2020年頃から強くなりました。

もうひとつ、アメリアについて「なんだか自分が期待していたことと違うぞ」と感じたのは、英語以外の外国語についての業界情報がこれまたほとんどない、という点です。翻訳業界というニッチな世界の業界団体みたいなものなのだから、会誌でもたまにはフランス語の翻訳者のプロとしての体験談とか、中国語の翻訳の需要動向とか、韓国語を習得して仕事の幅を広げてみましょう、精進あるのみ!という特集があってもよさそうじゃないですか。私はそう思いましたよ。だって、翻訳業界にはドイツ語で食ってる人も当然いるし、地方自治体のゴミ出しルールのポスターにはスペイン語の注意書きだってあるでしょ? なぜアメリアは、英語の情報ばかりなのでしょうか? 英会話スクールじゃないんですよ。翻訳のプロフェッショナルが集まるところでしょう?

結局、彼らは会員をプロフェッショナルとして扱ってくれていないな、と確信してしまいました。

そうは言っても、翻訳のプロフェッショナルとしてデビューしたら、しばらくはアメリアの会費を払っておくのは、良いことだと思います。私自身も納得してそうしていたのですし。
会員であるだけでもおカネはかかる団体なので、遊び半分で翻訳者を名乗っているのではないな、仕事をする気はちゃんとあるフリーランサーだな、と推定されるからです。
但し、そう推定してくれるのは日本国内の翻訳会社のヒトだけですよ。

そんなわけで、私は無事にアメリアから「卒業」しました。(こういう「卒業」という言葉の使い方は嫌いなのですが、まあこの際いいでしょう。どうやらアメリアは、会員のことをおカネを出して修行する生徒・学生のようなものと認識しているみたいですから。)
それを言うなら「中退」かもしれませんけどね。

追記です。
アメリアの運営は、会員のことをプロフェッショナルとして扱ってくれていないと、私は判断しました。
でも、アメリアをフリーランス翻訳者が集まる場所として考えている「利用企業」はそうではないです。平たく言うと、翻訳会社ですね。
だから、アメリアという場所にフリーランスが仕事を受注するチャンスがまったくないわけではありません。そこは誤解されることがなきよう、ご自分で入会して判断してください。
私はあまりログインしませんでしたが、アメリアの会員用Webサイトというものはちゃんとあります。紙とインクの会誌が送られてくるだけではないです。
その会員用Webサイトには、翻訳会社からの求人情報とか、「フリーランス翻訳者募集中」という広告(あるいは告知?)もありました。おそらく、年中一定数の求人や仕事のチャンスはあると思います。

だから、本気で利用すればアメリアで仕事を獲得できると思います。 私には無理でしたけど。

なぜアメリアのWebサイトでは営業活動をサボっていたのか?
簡単なことなのでお答えします。

 

無料のLinkedInの方が効率が良かったからです。

 

私はLinkedInの無料会員ですが、プロファイルと学歴・職務経歴を英語で書いておくだけで、放置していても向こうから「トライアルを受けて、ウチのベンダーにならない?」とお話が来るのです。
はっきり言って、日本国内の翻訳会社さんとの取引だって、LinkedInがきっかけで始まりました。(光栄だし、ありがたいことです)

この差は、大きいですよ。

 

いずれにしろ、組織を離れて自力で仕事を受注して報酬をいただき、生活を成り立たせるって、大変なことですよね。使えるものは何でも使うべきでしょう。
たったひとつの注意点。 集客のつもりででかけたのにいつの間にか自分がおカネを支出するお客様にならないように。

 

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