今日は2022年4月29日。個人の翻訳事務所、ヒノトリホンヤクの本店がある東京都日野市は、曇空です。代表の私は暑いのが苦手なので、過ごしやすくて快適で助かります。

そう言えば、国税庁さん、うちの事務所宛の郵便物には事務所の住所と代表者の氏名だけじゃなくて、屋号もちゃんと書いて宛名としてくださいよ! 別に愛着がある屋号だからとかではなくて、この本店の住所はコワーキングスペースなんですよ。代表者がここに居住しているわけじゃないんです。せっかく開業届けの時に追い詰められて、考えて、仕方なく登録した屋号なんだから、国税庁さんに使っていただかないと心理的な苦労が報われないです。私は失望するし、郵便配達の方も困っていたんです。
だいたい、私は正月に担当の税務署に出向いて、屋号も印字して郵便物を発送してください、って依頼しました。担当の職員の方、「わかりました」と言ってたじゃないですか。何やってんですか? 人の話聞いてないんですか?
屋号はやたらと印字しないでくれ、という個人事業主の芸能人とかのご希望が多いということはうかがいました。事情を説明されても困るんですけどね。でも、私の希望は、屋号を印字してくださいというものです。芸能人の方々の事情は理解できません。

本題に入りますが、ヴィーガンレザーのことは最近知りました。
言い訳しても何にもならないのですが、私は着道楽とは程遠いし、服飾品を買うのが大嫌いな人間なのです。仕方ないですね。

https://www.gqjapan.jp/fashion/article/20200529-vegan-leather
天然の毛皮に対するフェイクファーみたいなもので、動物を屠殺しないで作る皮革製品っぽい素材のことらしいです。

植物なら皮を剥いだり謎のタンクに入れて漬けたりしていいんですか??という疑問もあるんですが。一生モノとか、子どもの代まで大切に愛用するのであれば、本物の動物屠殺皮剥ぎ素材を使ってもいいんじゃないでしょうか。どうせ大抵の無毒な生物を、生きるために食べちゃうんですから。

まあ仮にも嘘でも「ヴィーガン」だから、好き嫌いのわがままのことではないので、別にいいのか。
個人の思想信条ですから。
私の感じ方としても、ヴィーガンレザーのハーフコートやシューズや財布が手に入りやすくなったら、買ってもいいかもしれません。条件付きです。当然、耐久性とコスト次第。
よくわからないのが、先日某所で只見したスタートアップ系(和製英語まじりで言うとベンチャー企業)のプレゼンテーションです。一部のWebサイトでも同様らしいのですが、ヴィーガンレザーのことを「バイオレザー」と紹介していました。あくまでも認知と普及を促すための別名なのでしょうが、ちょっと「バイオレザー」はどうかと思いますね。
キノコ(もはや植物でさえない)やリンゴの皮やパイナップルかナニカを使って皮革っぽい素材を人間が作るのだそうです。でも、「バイオレザー」はないでしょう。「バイオ」は。
まあ大昔のバイオテクノロジーブームや「超電子バイオマン」みたいにポピュラーになってほしいのでしょう。認知をかせぐのって、大変だそうですから。

ここで、フランスでも昔、大人気になった超電子バイオマンをどうぞ。東映さんのコンテンツ管理はシビアなので、フランス語版といえども私は直接YouTubeリンクしません。
最近大流行の自己責任でご視聴ください。
https://www.youtube.com/watch?v=TMiRoyBCIb4&t=62s
「オオー ビヨマーン♪ テューエ グラーン」とか唄っています。 第一話のOPですが、日本人の女性がアーチェリーの練習をしているので、これは二代目のイエローフォーさんですね。

でも変でしょう?

ヴィーガンレザーがバイオレザーって。
牛やワニやトカゲから取った、超古代の昔からある「本革」だって、バイオじゃないですか。
それを、いまさら植物由来のフェイクレザーを「バイオレザー」って。
これまで人類さまが古代から屠殺してきた本革プロバイダーの動物たちに失礼ですよ。

それ、「インドカレー」とか「スパイスカレー」と同じですよ。


カレーはインド由来だし、カレーにスパイスが入っているのは子供だって知ってます。
韓国チゲ鍋っていいますか?
(言うんですよね。言う人もいるんですよね。知ってます。)

何なんでしょうね、こういう意図がよくわからない言葉づかい。商売柄、気になりますね。
なぜこんなどうでもいいことが最近(サラリーマンを辞めてから)気になるのか?
まあいいじゃないの、嘘を言ってるんじゃないんだから。バイオレザーはたしかにバイオだし、スパイスカレーにはたしかにスパイスが入っているし、韓国チゲ鍋はたしかに韓国系で鍋料理だし。

……と寛大なことをおっしゃる向きもあるのでしょうが。私がこういうウソじゃないんだけど余計な言葉に敵対的なのにも、理由があると思うのです。
いつか自分にもこういう冗長な原稿のしごとが来るかもしれないから。こんな、言葉が余計な日本語もどきを正確に翻訳してみなさい!という仕事を受注したら、面白くないなぁ、と恐れています。
ウソじゃなければ良いというものでもないでしょう。

こんなのが大量発生したら、大迷惑です。
先日、「密林」で中国製の革製品のようなものを買いました。腕時計用のストラップ(昭和的に言うと時計バンド)なのですが、カラーバリエーションも豊富でお買い得な値段なんですよ。1,500円とかですよ。密林の商品説明ページでも、素材:革とか堂々と書いていますし、実物を入手すると裏面(手首に密着する方の面)にGENUINE LEATHERとか型押しで表示されています。ウソつけって。笑
1,500円でフェイクじゃない本革の腕時計用ストラップが買えるわけないでしょ。アホでしょバカでしょドラえもんでしょ。
でも、翻訳のプロフェッショナルとしては、こういうわかりやすいウソの方が愛嬌もあるしスキなんですよ。製品は安いですし、実際いわゆる「お値段以上」ですから。誰かから「あなた、なぜこんなものがGENUINE LEATHERなんですか? それでもプロの翻訳者ですか?」と批判されても平気です。だって製造者とか販売者がそう言い切ってるんだから、しょうがないでしょう?

でも、バイオレザーとかスパイスカレーとか韓国チゲ鍋とか、そういう広告や商品名を外国語にローカライズする仕事にかかわってしまったら、「こいつらどういう言語センスしてるんだ」の仲間かと思われます。私の方が「アホでしょバカでしょドラえもんでしょ」と指弾されちゃう。不本意です。

いま、簡単に調べてみたのですがvegan leatherで検索しても日本系のWebサイトがたくさん表示されるだけです。
vegan walletsで検索すると、やっと色々と英語圏のWebサイトが出てきます。
こんなの。
https://www.uniguide.com/vegan-wallet-brands-guide/

まあ、でもvegan leatherでも情報はあるにはあるようです。根気よく探すと、出てきます。
https://veganbits.com/what-is-vegan-leather/

vegan winter coatsとかもありますね。

さて。
https://keesbags.com/en/our-story/
どうもこのバイオレザーは、biodegradableな皮革製品らしいですよ。
表面処理(タンニング)をするときにクロムなどを使っていないので環境負荷が小さいし、微生物(ここがバイオですな)が分解できるような材料でコーティングしているだけみたいです。



要するに、ちゃんと動物を屠殺して皮膚を剥いで使っていますと。シンボルマークに牛も描かれていますものね。これはバイオだわ。
全然ヴィーガンじゃないけど。