翻訳者は絶滅する職業なのか

今日は2020年9月28日。 東京都日野市の最高気温は26℃。 やっと涼しくなってきました。 天気は快晴。

人工知能の進化で機械翻訳がかなり使えるレベルになってきました。 当事務所の代表は、つまり私のことですが、30年間大手商用自動車メーカーに勤務したあげくにやっと翻訳者という職業についたのですが、この職業の未来はどうなのでしょうか。


今週、図書館で借りて読んだ本をここでちょっと紹介します。
「絶滅危惧職種図鑑 これからなくなる厳選65職種」
2018年に発行された本で、著者は元自衛官の現在億万長者、だそうです。 億万長者。 いや、笑っちゃいけませんね。
これ以上は無料で宣伝はしません。
特別サービスで、書籍の外観をここでご覧ください。

この本には、たぶん翻訳者という職業(私は自分の天職だと思っています)も絶滅する商売にあげられているんだろうな、と覚悟して読んだのですが、予想は裏切られ、載っていませんでした。
でも、億万長者の著者によると、職業が絶滅するというのは「単価が下がる」「仕事の量が減る」という意味だそうです。 他人事ではないですね。 翻訳者だって、翻訳会社だって、パンデミック以前からどう見ても供給過剰ですから。

仕事の総量は、微妙に増えているかもしれません。 Webとゲームが原因です。

さて、この書籍ですが、絶滅危惧職種として「通訳」はリストに含まれていました。 通訳機というデバイスの完成度が上がってきたためです。 私はプロの通訳ではないですが、このロジックは否定できません。 夢の通訳機ことポケトークはかなり使えます。 さらに、2020年の現在では、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響でオフラインのイベントがかなり減っています。 通訳者の仕事の量は相当減っていると推測できます。
但し、近いうちに本当に「絶滅」して「ああー、昔そういう商売もあったねぇ」となるかというと、それはないですね。
何故かと言うと、オフライン・オンラインを問わず、国際会議や、大会社のエラい人が自ら出動する商談や、メディアのニュースの同時通訳はなくならないからです。 こういう場は旅行者の観光や困ったときに警察や病院に駆け込んだケースとは違います。 意味が通じればいいや、とかコミュニケーションが成立すればいいや、というものではないからです。 国際紛争になったり、商談が決裂したり、株式市場が暴落したりしたら、どう責任取るんですか。 (笑)
ごくひと握りのエキスパートでプロフェッショナルな通訳者は、生き残るでしょう。 単に、無情なまでに狭き門になるだけです。

他には、以下のような職業が遠からず絶滅するそうです。 億万長者さんによると。 私の見解もカッコ内に書いてあります。

・税理士
【理由は、マイナンバー制度などで国家が直接税金を計算して取っていくからだそうです。 私は絶滅するとは思いません。 税理士という資格は、税金を計算するためにあるわけではないからです。 私の身内に税務署の職員の経歴がある者がいるのですが、はっきり言って税理士という士業は税務署の職員OBの既得権益だからです。 通訳者同様に、税理士で生活できる人の数は減るでしょうが、職業として忘れ去られることはまずないでしょう】

・自動車整備士
【理由は、電気自動車が急速に普及してモジュール化されて、自動車を組み立てることについてのハードルが下がるからだそうです。 中小企業レベルでも「自動車メーカー」になれるのは間違いでないでしょうが、基本的に何言ってるかわかりません。 一昔前のデスクトップPCのように個人が自動車を組み立てることが可能になるのは、予測の方向として合っているでしょう。 でも、化石燃料を使うエンジンがなくなっても、可動部品がある自動車は走行していれば時々故障します。 整備も欠かせません。 自動車を組み立てるのが素人にもできるようになっても、修理やメンテナンスが本当に素人にできますか? 質量も運動エネルギーも大きい自動車は、PCと違って危険な機械です。】

・歯科技工士
【理由は、3Dプリンタが普及して高機能化するからだそうです。 ごもっともですね。】

・薬剤師
【処方箋など診療情報がデジタル化されて、いずれは処方薬が自動販売機で出されるようになるのだそうです。 機械がやった方が、調剤ミスは減るとのこと。 これも説得力があります。 歯科技工士よりも時間はかかるでしょうが、絶滅しそうですね。】

・モデル
【どうやら、著者の億万長者さんはファッションモデルのことを言っているようです。 細すぎて不健康なファッションモデルを使うことを規制する国が増えているとのこと。 コンピュータグラフィクスのファッションモデルであれば、確かに健康状態は関係ないですね。 でも、広告用のモデルやプロの写真家用のモデルは、コンピュータグラフィクスに置き換えることはできないでしょう。 いくら老化しない、怪我も病気もしないと言っても、生身の人間の身体(のイメージ)が商品である場合も、あるのです。】

書籍の紹介(読書ログ)はこのへんで終了。

ここからは、私が作ったリストです。

「ちょっと昔にはあったが現在(2020年)では絶滅した職業」

・キーパンチャー
約33年前、私が自動車メーカーに就職した頃には実在していました。 当時、ハードウェアとしてのPCはあったのですが(但し、一人に一台とはいかず、毎朝奪い合い。)メインフレームコンピュータにデータを直接入れることはエンドユーザーには許されていませんでした。 データレイアウトに準じたインプット用紙に、エンドユーザーが入力したいデータを鉛筆で書いて作業計画表に従って「電算部のエントリー室」というところに持参するのです。 エントリー室には10人くらいの女性社員がいて、そのインプット用紙を見ながらデータをキーボードを叩きまくって入力してくれるのです。 提出が遅れたり、数字や英文字が読みにくいと、このエントリー室のお姉さんに叱られるのです。 その代わり、一箇所でも入力ミスがあったりするとエントリー室のお姉さんの責任です。 エントリー室の上司のおじさんが、謝りに来ます。
PCのOSとしてWindowsの3.1が出た頃に、エントリー室が廃止されてキーパンチャーのお姉さんたちもいなくなりました。

・百貨店のエレベーターガール
私が子どもだった頃には、近所の八王子市の百貨店にもエレベーターガールがいました。
「5階、かしこまりました」とか言って行き先階のボタンを押してくれます。 到着すると「5階、紳士服売場でございます」とか言って教えてくれます。

・代書屋
東京は府中の運転免許試験場のバス停の一個前のバス停には、ずらっと代書屋さんが並んでいました。 申請書に書いた自分の名前や住所などの文字がそのまま運転免許証に焼き付けられるので、相当字が上手い人でも代書屋で和文タイプをしてもらうのが当然でした。 申請書ができると、「試験場の1階、○番の窓口に最初に行ってね。」などと親切に指示してくれました。 1990年頃までは、運転免許更新センターの周囲にまだ代書屋が残っていたと記憶しています。

・携帯電話売場の売り子のミニスカート姿のお姉さん
スマートフォンが普及して以来、めっきり見かけなくなりましたね。 スーパーマーケットの食品売場の試食付きの販売員は健在ですが。

「ちょっと昔にはすでに絶滅していた職業」

・電話交換手
都内の企業には、いたそうです。 私は見たこともないですが、私の母(後期高齢者です)は上野の勤め先で電話交換手をやったことがあるそうです。
電話交換手として雇われたわけではないとか。

ちなみにこれが電話交換手のお姉さんたちの写真です。

ウソかホントかわかりませんが、上の写真は1970年代初めの仕事初めの風景らしいです。 1936年の満州国の満鉄の本社の電話交換室の写真とかではないのですよ。 電話交換手のお姉さんたちが振袖を着て日本髪だったりするのは、おめでたい仕事初めの日だからというようです。 なんですかそのコスプレ的なドレスコード。(笑) 言われてみれば、天井の照明がちょっと1970年代っぽいです。

ヘッドセットして、日本髪で、振袖で、eスポーツのスター集団ではなくてテレコミュニケーションですよ。 ちょっとブレードランナー的なサイバーパンク風景です。むしろスチームパンクでしょうか。

・路線バスの車掌
私は見たことがないです。 おそらく次のバス停の名前をアナウンスしたり、キップを売ってお釣りを出したりしてくれたのだろうと思います。 バスの車掌さんを見たことはないですが、子どもの頃に路線バスのボディーに「ワンマン」と表示されているのはいくらでも見ました。 「このバスの乗務員は、車掌がいないので運転手ひとりだけですよ」という告知だったのでしょう。
色々と覚悟が必要だったのですね。

実は、関西では西暦2000年寸前まで車掌さんがいる「ツーマン運行」の路線バスがあったとか。

・(特に酒屋の)御用聞き
サザエさんでおなじみ、「まいどー、三河屋でーす」とか言って勝手口に来て醤油一本を配達してくれたり、瓶ビールを1ケース受注して帰っていったりする働き盛りの男性です。 実際、いたそうですよ。

但し、私が以前勤務していた大手商用自動車メーカーの工場には仕入先の御用聞きの人は現存しています。 醤油とかビールではなく、工場で使う工具や施設材を配達したり受注して行く営業さんです。


2020年は突然新型コロナウイルス感染症のパンデミックが社会を力強く揺さぶりました。
秋になろうとしていますが、新型コロナウイルス感染症はまだ恐ろしいです。 集まるな、人と接触するな、汗や唾液の飛沫に気をつけろ、と警告されています。 ある意味身体が商品であり人前に出るのが商売である、役者、歌手、音楽家、スポーツ選手などの方々は仕事が減ったりして色々と不安だろうと想像します。
フリーランスの翻訳者という私の職業、これからどうなるのでしょうか。 私は全然悲観していませんが、もはや他の仕事にはほとんど興味がないので逃げ場もありません。 気にはなります。